中流層のみなさん、こんにちは。むたろうです。
「収入は平均くらいですが、会社が嫌いなのでセミリタイアしたい」をコンセプトにブログを書いています。
会社をやめるために給与以外のCF(キャッシュフロー)を育てています。
高配当株からの配当金もその1つで、高配当株投資を始めてちょうど1年が経ちますが、年間14万円ほどの配当金が入るまで育ってきました。
スタイルは高配当株ETFを中心に個別株を織り交ぜる方法をとっています。
→2020年7月にインデックス投資に転換
その中の銘柄の1つ、エクソンモービル(XOM)について簡単に紹介します。

2020年1Qは赤字も配当は維持。果たして吉と出るのでしょうか。
エクソンモービルの基本データ
エクソンモービルはアメリカの総合エネルギー企業で、石油メジャー最大手です。
元を辿れば、「海賊と呼ばれた男」にも出てきたセブンシスターズの一角、スタンダードオイル社が起源となります。
エクソンモービルは石油に関するすべてのことを手掛けています。
それは探鉱、採掘、輸送、精製、販売です。油田を探して開発し、掘って、運んで、製品にして消費者に売る。
垂直統合型企業の典型例ですね。
なお、日本ではエッソのブランドでガソリンスタンドを出していましたが、上流事業(油田採掘の方)に事業を集中させるため東燃ゼネラルに売却。その後東燃ゼネラルはJXTGエネルギーとなり現在はENEOSブランドとなっています。
ダウ30種には前身(さらに前身?)のスタンダードオイル社の頃から採用され続けており、最古参銘柄となっています。
原油価格が暴落したことで同社の株価も暴落。3月22日には31.45ドルまで株価が下落しましたが、現在は約40%程値を戻し44ドル台となっています。
配当利回りは7%台です。
・Upstream(上流事業=油田開発、採掘など)が約144億ドル
・Downstream(下流事業=運搬、精製、販売など)が約23億ドル
・Chemical(化学部門=石油を使った製品部門)=約6億ドル
売上額は原油価格に大きく左右されます。
特に上流事業は原油価格が下がれば下がるほど利益が出なくなり、例えば原油価格が大きく下がった2016年には、上流事業の利益はほとんで出ていません。
また、下流事業や化学製品についても、上流事業ほどではないものの、原油価格下落の影響は受けます。原油価格が下がるほど製品の価格も下がるためです。
このように事業の内容が原油という資源価格に大きく影響される構造となっているため、同社の株価は原油価格と連動して上下します。
同社をはじめとする石油メジャー全体に言えることですが、石油の需要減やESG投資に対応するため、再生可能エネルギーやシェールオイル、電力といった石油以外のエネルギーにも手を広げ、石油企業から総合エネルギー企業に成長しようという流れがありました。
しかし現在はこの原油価格急落をどう乗り越えるか、というところで頭がいっぱいだとは思いますが・・・。
エクソンモービルの売上等推移
データはモーニングスター及び公式IRから持ってきています。

2020年1Qまでの情報です。
売上や利益の推移は原油価格とほぼ連動しています。原油価格が下がり始めた2015年ころから売上・利益ともに落ち始めています。
その後協調減産により原油価格が上がってくると、同社の売上・利益も回復傾向に。
注目は原油価格が40ドルを割った2016年ですが、営業利益がほとんど出ていません。現在の原油価格は20ドル台ですから、現在の状況が続くと同社の売上・利益が大変なことになることは想像に難くありません。
2020年1Qでは、1988年以来、32年ぶりに赤字を計上し純利益が-6.1億ドルとなりました。原油価格急落で在庫などの減損額を28.8億ドルほど計上したのが響きました。売上も前年同期比で-11.7%と良いところがありません。
エクソンモービルのCF推移

毎度ながら、私が最も重要視するキャッシュフローです。売上・利益と似たような推移となっています。
営業CFはやはり売上・利益と連動する部分が大きいですが、注目してほしいのは投資CFです。
投資CFは企業側で管理できる部分であり、同社は業績や原油市場の動向に応じて投資額をきちんとコントロールしているように見えます。
原油価格が急落した2016、2017年は投資CFを2013年の半分まで削減し、しっかりとフリーCFを確保しています。
今回の原油価格暴落でも同社は投資額の大幅削減を発表し、対応策を採っています。額としては230億ドルまで削るようですね。
また、売上高を営業CFで割った営業CFマージンは10%以上で安定して推移しており、本業でしっかりとキャッシュを稼げている点は安心できます。
エクソンモービルの配当推移等

同社は連続増配37年の配当貴族、配当維持年数78年の歴史を持っています。
さすがに2020年は増配は厳しそうな気もしますので、配当維持が精いっぱいかもしれません。現時点では配当維持のアナウンスがありましたので、ホルダーとしてはもうこれで満足です。
2019年の一株当たりのフリーCFは一株当たりの配当金額を下回ってしまっていますし、2020年もおそらくそうなるでしょう。
しかし、2015、2016年も2年連続で同じ状況となっていますが配当は増額されています。
あくまで過去からの推測ですが、2、3年で原油価格が回復するのであれば減配はなく、配当維持はしてくれるのではないでしょうか。
なお、2020年1Qの一株当たりの配当金額は0.87ドル、EPSは-0.14ドル、調整後EPSは0.53ドルとなっています(グラフはEPS、FCFPSは発表なし)。
エクソンモービルのバランスシート

2019年末のバランスシートです。
見てのとおり財務は問題なしです。S&Pの格付けはAAです。分厚い自己資本を持ち、借入金も多くありません。
しかし、近年少しずつ債務が増えてきてはいます。この原油価格暴落の中でお金を調達できるだけでも同社の信用の現れなのかもしれませんが。これだけ財務が良ければ、多少借入が増えたとしてもすぐに問題にはならないと思います。
また、英独の海外事業を売却し、20億ドルを調達する動きがあるというニュースも出ていました。

この財務であれば、現在の危機も乗り切れると思っています。
2020年1Q決算について
2020年1Q決算
売上:561.6億ドル 前年同期比-11.7%
純利益:-6.1億ドル
調整後EPS:0.53ドル 前年同期比-4%
売上、調整後EPSともに前年同期を下回りました。一方アナリスト予想(508.3億ドル、0ドル)は上回っています。
原油価格暴落による売上の低下と在庫などの減損が大きかったです。減損の影響を除いた調整後EPSはやや微減となっています。また調整後収益は以下のとおりで、左から2020年1Q,、2019年1Q、2019年4Qとなっています。

減損の影響を除けば、前年同期並みで前期(2019年4Q)を上回る収益となっています。
エクソンモービルのまとめ
今後も同社の株価は原油価格に左右されながら推移することでしょう。逆に言えば、ある程度株価の予想もつきやすいということになると思います。
しかし、そこで売買を繰り返すよりも配当金を狙って長期保有し、循環的に株価が下がる時期がくれば買い増し、という戦略を私は採ろうと思っています。
2020年1Qは約30年ぶりの赤字となるなど本当に厳しい決算となりました。ホルダーとしては配当維持をしてくれただけで十分です。
しかし、4-6月期の影響をもろに受ける2Q決算まで引き続き警戒する必要があります。
また減配を決めたライバル、ロイヤル・ダッチ・シェルとの対比が今後面白くなると思っています。
保有状況等
私はXOMを35株保有(2020/4末現在)しており、保有株式全体の約8.2%となっています。
ここから年間13,000円ほどの配当金が発生します。
ただ、コロナショック以前にまとめ買いをしていて保有割合が多くなってしまっていたので、残念ながら今回の暴落ではあまり買い増しできませんでした。
そのため莫大な含み損となっていますが、気にしていません。
今後、自分のポートフォリオのバランス調整が終わっても株価低迷中なら買い増していくのを楽しみにしたいと思います。
参考になれば幸いです。
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