こんにちは、むたろうです。
こんなやりとりをよく見かけます。

株や投信を買うときって、一括で買った方が良いの?それとも時期を分散させて買う方が良いの?

一括で買う方が良いけど、購入直後の暴落が怖いなら資金投入を分散させるのも手ですよ。
この「一括投資が良いのか、時期を分散させるのが良いのか」の議論に対する私の考えを書いてみます。
この議論は「リスク許容度とアセットアロケーション」の観点から考えるべきでは?
やはり一括投資をするべき
この議論に対して、私は、
「投資に振り向けることのできる資金は、なるべく一括投資するべき」
と考えています。
特にインデックス投資なら、なるべく多くの資金をなるべく早い段階で市場に置くことで、その後の市場の成長をより多く享受することができます。
実際に、私も高配当株投資からインデックス投資に切り替えた際、高配当株を売却して得た資金を一括してVTに投入しました。

…でも、購入後に暴落が起きたら大きな含み損を抱えることになるのでは…?
それは不安だ…。
そうなんです!結局、一括投資に対するネガティブな意見というのはこれに集約されるのではないでしょうか?
でも、それって、「一括投資or分散投資」の枠組みで論ずるべき点なのでしょうか?
議論の根本は「リスク許容度とアセットアロケーション」では?
私は、この議論の根本は「リスク許容度とアセットアロケーション」の問題だと思っています。
例えば、預金を1,000万円持っている人がいるとします。
その人は生活防衛資金200万円を除いた800万円を使って投資を始めようとしています。
このとき、800万円を一括投入して投資信託を購入しようかと思いましたが、「購入直後に投信の価格が半分になるような大暴落が来たら嫌だなぁ」と悩んでいます。
確かに、1,000万円の資産が暴落によって600万円(生活防衛資金200万円+投資信託400万円)に減ってしまいますよね。
しかし、これは「一括投資が悪い」わけではありません。
「一括投資が悪い」のではなく、「自分のリスク許容度とアセットアロケーションの設定」が間違っているのです。
リスク許容度について
リスク許容度とは
投資に伴うリスクをどこまで許容できるかの度合い
投資に伴うリスクは、「投資元本割れを起こすこと」を想定してもらえばわかりやすいです。
「含み損をどこまで抱えても、資金的・精神的に問題ないか」の度合いですね。
判定の仕方は?
機械的な判定の仕方としては、様々な証券会社等が簡単なアンケートに基づいて自分のリスク許容度を判別できるツールを用意しています。
このようなツールを活用して大体の目安を見つけても良いですね。
また、簡便な判定方法として、「リスク資産が半分になるような暴落が起きた際に、不安なく、ぐっすりと眠ることができるかどうかを想像してみる」のも良い方法だと思います。
先ほどの例で言えば、800万円の投資資金が400万円(-50%)になってしまっても、夜ぐっすり眠れるかどうか、ということです。
そうなった場合に、不安で夜ぐっすり眠ることができないと思うのならば、余剰資金とは言え、800万円を全額投資に投入することは、自らのリスク許容度をオーバーしているということです。決して一括投資が悪いのではありません。
そうしたら次に、今度は、600万円分投資信託を購入し、残りの200万円を現金として持っている(現金に投資する)場合に暴落が起きたら、夜ぐっすり眠れるか想像するのです。
この場合、投資信託600万円が半分の300万円になったとしても、現金は200万円残っていますから、合計で500万円。
ポートフォリオ800万円全体からすれば-37.5%です。
それでもまだキツイ…と思うなら、投資信託400万円+現金400万円なら、投資信託が半分に暴落しても合計600万円(-25%)です。どうでしょうか?
と、このように考えながら自分のリスク許容度を決めるのが投資の第一歩です。
アセットアロケーションについて
アセットアロケーションとは
自分の運用資産を構成する様々な資産(株式、国債、金・商品、不動産、REIT等)の配分のこと
リスク許容度と同じくらい重要なのが、このアセットアロケーションです。
「投資リターンの約9割はアセットアロケーションで決まる」という研究結果もあるくらいです。
これに関しては、イェール大学のイボットソン教授の研究が有名ですが、これは別の機会に(または調べてみてください)。
各資産の相関関係が重要
アセットアロケーションを考えるにあたり、「全米株式と全世界株式を買って分散させています」という方がたまーーーにいますが、それでは何の分散にもなっていません。
なぜなら、その2つの資産の相関関数はほぼ1です。つまりほとんど同じ値動きをするのです。
考えてみれば同じ株式ですし、さらに全世界株式の約6割が米国株式ですからね。
ということで、アセットアロケーションを考える際は、それぞれが別の値動きをするような資産を組み合わせるのが基本です。
例えば、株式であれば国債や金などが相関関数の低い資産として挙げられます。
しかし、各資産の相関関数は切り取る期間でも変わってきますので、ずっと同じ相関関数が通用するわけではありません。
「各資産の相関関数の推移なんて追うの面倒くさいよ」という人は、株式50%+現金50%のアセットアロケーションである「カウチポートフォリオ」がおススメです。
上で述べた投資信託400万円+現金400万円の例が正にそれですね。
アセットアロケーションの話なのに「ポートフォリオ」と名前が付くのは何となく不思議ですが、この「カウチポートフォリオ」なら年1回のリバランスで、簡単に資産管理ができます。
「一括投資or分散投資」に悩む前に、リスク許容度とアセットアロケーションを見直そう!
ということで、「一括投資か分散投資か」に悩む前に、自分のリスク許容度とアセットアロケーションを見直しましょう!
例えば、冒頭の人の例で言えば、いくら余剰資金での投資とは言え、800万円をすべて株式に投入するのは自分のリスク許容度を超えているということになります。
だから、直後の暴落が怖いのです。
リスク許容度やアセットアロケーションを見直した結果、投資信託400万円+現金400万円くらいが限度だなと思えば、800万円のうち400万円を一括投資すれば良いだけです。
これなら、購入直後の暴落が怖くなくなります。なぜならリスク許容度の範囲内だからです。
この議論の結論はこうです。
リスク許容度の範囲内で、一括投資しましょう!
何度も言いますが、一括投資するべきか悩む前に、リスク許容度とアセットアロケーションを見直しましょう!
この議論は、「リスク許容度とアセットアロケーション」と切っても切り離せない議論なのに、そこに触れている回答があまり多くありません。
なんとなーく「暴落が怖いなら分散投資でも良いと思います!」みたいな回答が多いですが、私は上記のとおりと考えます。
どんな株(投資信託)を買おうかな?
どんな銘柄を組み合わせようかな?
いつ頃買おうかな?
こんなことで悩む前に、まずはリスク許容度とアセットアロケーションを考えるようにしましょう。
参考になれば幸いです。
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