こんにちは、むたろう(@mu_mu_mu_268)です。
3/23に国土交通省が、「令和3年地価公示」を発表しました。
一物四価と言われる不動産価格の種類と今年の地価公示を簡単に見てみたいと思います。


一物四価とは
不動産には4つの価格があるので、「一物四価」という言われ方をします。
その4つを見てみましょう。
なお一般的に、この4つの価格は高い順に①>②>③>④の関係になっています。
①実勢価格
実勢価格は、過去の売買において実際に取引された価格の平均的な額のことです。
いわゆる「時価」です。
すべての土地が過去に何度も取引されているわけではないので、実勢価格を考える際は、同じエリアの同じような条件の土地の取引事例を参考にすることが多いようです。
もちろん、新しく駅や高速道路のインターが出来たり、社会情勢の変化があったり(例:コロナで郊外志向が高まった等)すると、過去の事例における取引価格よりも高くなることがあります。
逆もしかりです。
つまり、「今この土地はいくらで取引されるのが妥当なのか」を示す価格ということです。
調べ方ですが、素人がそのエリアの過去の取引価格を網羅することは難しいので、私は業者に聞いてしまうことが多いですね。
あとは、国土交通省の「土地総合情報システム」というサイトの「不動産取引価格情報検索」から、実際の取引価格を調べることもできますので、これを参考に自分で調べてみるのも手です。
②公示価格
公示価格は、土地取引の参考に資するため、国土交通省が毎年発表するものです。
毎年1月1日時点の価格を3月下旬頃発表しており、23日に発表された地価公示がまさにこれです。
全国約2万6,000地点にのぼる標準地の価格が公示されます。
公示されるのは標準地の価格のみですので、自分が買いたい(売りたい)土地がいったいいくらなのかは、近隣の標準地の価格を基に判断することになります。
公示価格に関する国土交通省のページは下記のリンクのとおりです。過去のデータも見ることができます。
③相続税評価額
相続税評価額は、その名の通り、相続税(や贈与税)を算出する際の基準とするために国税庁が毎年発表するものです。
毎年1月1日時点の価格が7月頃発表されます。
「路線価」と呼ばれることもありますね。
評価の方法としては「路線価方式」と「倍率方式」があります。
市街地などにおいては、道路それぞれに「路線価」と呼ばれる1㎡あたりの価格が示される「路線価方式」が取られることが多く、逆に郊外などにおいては、後述する「固定資産税評価額」に1.2倍などの倍率をかけることで示される「倍率方式」が取られることが多いです。
物件の銀行評価などで用いられる「積算価格」も、土地部分についてはこの「相続税評価額」を基に計算されることが多いようですね。
全国の路線価については、国税庁ホームページで見ることができますので、自宅や所有物件の路線価を調べるのは比較的簡単です。
路線価は下記のような図で示されます。

これはさいたま市浦和区の路線価図の一部ですが、赤枠で囲ったところに100㎡の土地があった場合、その前面道路の路線価は300千円(1㎡あたり30万円)なので、30万円×100㎡で3,000万円と計算することが可能です。
④固定資産税評価額
固定資産税評価額もその名の通り、固定資産税を算出する際の基準とするために各自治体が決定するものです。
こちらは3年ごとに評価額が見直されます。
持ち家や投資物件を持っている方は、毎年届く固定資産税の税額通知書に、この固定資産税評価額が記載されているはずです。
一般的に、「①実勢価格」の70%ほどの価格になると言われています。
令和3年地価公示
今年の地価公示を、国土交通省が発表した「令和3年地価公示の概要」に沿って見てみます。
・全国的に、久しぶりに下落に転じた。
・特に三大都市圏(東京・大阪・名古屋)の下落が大きい。
・上昇を継続している地域(地方四市等)でも上げ幅を縮小した。
ということで、「下がった」という印象を持ってもらえば良いと思います。
下図は、「全用途平均」「住宅地」「商業地」それぞれの公示地価の推移です。
ほぼすべてに▲のマークが並んでいます。

商業地

商業地については、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)でそれぞれ平成25年(2013年)以来8年ぶりに下落。
国内外観光客が激減し店舗やホテルの需要が減ったことで、大きな下落となりました。特に、大阪(▲1.8%)・名古屋(▲1.7%)の下落は東京(▲1.0%)よりも大きいものとなりました。
しかし、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)は上げ幅を縮めたものの上昇を継続しました。
三大都市圏から離れると、観光客や通勤客需要よりも、地元の人々の需要で成り立っている商業圏が多いからだと思われます。そのような地域は、底堅い推移となったのでしょう。

都道府県別だと、北海道、宮城、千葉、神奈川、福岡、熊本、沖縄のみ上昇。
佐賀が横ばいで、それ以外は下落という結果でした。
下落継続の地域でも下落幅が大きくなった(青色が濃くなった)都道府県が多いですね。
住宅地

住宅地は、三大都市圏は7~9年ぶりに下落。
しかし、その中でも希少性の高い住宅地等は上昇を継続しているようですが、一部の高級住宅街等に限られるということでしょう。
地方の主要都市は上げ幅を縮めたものの、上昇を継続しています。
全体的に、コロナによる雇用・賃金情勢の不透明さから、需要は弱含みということです。
こんな状況の中、大きな買い物である住宅を購入しようと思う人が減るのはわかりますね。

都道府県別だと、北海道、宮城、千葉、福岡、佐賀、熊本、大分、沖縄が上昇。
山形が横ばいでそれ以外はすべて下落です。
特に近畿・中部地方の落ち込みが大きいように見えますね。
まとめ
公示地価には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく出ていたように思います。
特に三大都市圏の商業地での落ち込みが大きいのですが、これは実際に街に行けば、空室の増えたテナントビルなどから一目瞭然だと思います。
住宅地は、商業地に比べれば需要が底堅い分、下落もマイルドになりました。
しかし、近隣都市圏商業地のブランド力が落ちていけば、その近郊の住宅地の地価の下落に波及する可能性があります。
商業地に近く「通勤に便利、買い物に便利」な土地だからこそ、住宅地としての人気も高いわけですので、「仕事はリモートワーク、ショッピングはネットで、デパートも潰れたし」という状況になれば、都市圏近郊の住宅地の人気にも陰りが出るかもしれませんからね。
また、来年の地価公示がどうなるか、楽しみにしたいと思います。
読んでいただいてありがとうございました。
コメント